孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 初心を思い出させるための左遷で、そのあとも見放したりはせず、社長はこうやって再起のために力を貸してくれている。

 小さなことから大きなものまでを背負う社長は、こういった部下に対する配慮までできる、本当に凄い人なんだとあらためて尊敬する。


『これを蹴る理由はどこにもないと思うが、どうする?』


 きっと答えは決まっているはずだけれど、社長は浅田部長の気持ちを確かめるためにあえて質問する。

 私を介して尋ねたことに、浅田部長はしっかりと社長を見据えて答えた。


「はい、尽力させていただきます」


 よどみのない答えに、社長は満足したように目を細める。

 名刺を受け取った浅田部長もまた、これまでの傲慢な態度を一蹴するようなぎらりとした眼差しで、社長に頭を下げていた。



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