孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 そこに社長の怒りが見えて、怖さを感じるけれど、それが私を守るためだということが力強い手のひらから伝わってきて、心がときめきに震える。

 昨夜社長の気持ちを聞いてから、彼の行動のひとつひとつがいちいち私に向けられている気がするのは自惚れではないだろう。

 私を想ってくれているんだという実感がじわじわと押し寄せ、社長を見る私の目を少しずつ変えているような気がした。


『ところでユウセイ。今日はこれからどうするの?』


 社長の恐ろしくも感じる空気をものともせず、意地悪そうな目つきをしていたルイさんはころっと表情を変え、可愛らしく首をかしげてみせる。


『誰が教えるか』

『あー、ユウセイが意地悪するー』


 可愛らしく唇を尖らせるルイさんは、これでも橘社長に次ぐかなりのやり手だと聞いている。

 そんな彼のぶりっこには騙されないとばかりに、彼に冷たい視線を送ってからまた流れてくる荷物に目を向ける社長。

 それでも、社長はルイさんを信頼しているからこそ、彼をこちらに呼び寄せた。

 これが長年連れ添っているらしいふたりの、パートナーシップにおけるデフォルトなのかもしれない。
< 224 / 337 >

この作品をシェア

pagetop