孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
*


『ユウセイ、ここからの景色は向こうの家とよく似ているね!』


 ルイさんははしゃいだ様子で広大な都会の景色を望む大きな窓に駆け寄る。


「佐織、このキッチンはどうだ? 不便するところがあれば変えてもらおう」


 調理器具もなにもないアイランドキッチンに私と並んで立つ社長は、遠くから聴こえるルイさんの声かけに見向きもしない。

 三十五帖あるらしいだだっ広いリビングの向こうのほうで、庭のような広さのバルコニーに出ていくルイさんの背中が小さく見えた。

 三人を乗せたハイヤーが向かったのは、今朝ネットで調べていた不動産会社。

 いくつか物件をピックアップして、実際に部屋を見に来たところだ。


「そんな、私はなにも……」


 私がちゃんと料理できることを知り、わざわざ好みを尋ねてくる社長は、やっぱりこのまま一緒に住まわせるつもりだ。
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