孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「キッチンは奥様の聖域ですから、欲しい機能があれば手配させていただきますよ」


 私たちのそばで、物件の案内をしてくれているスーツの男性が、にこにことなんの疑いもなく私を社長の妻だと称する。


 お、奥様って……


 自分の気持ちはまだ全然ついてきていないのに、社長が私をまるで恋人のように扱うから、周りまでそんなふうに錯覚させてしまっているんだ。

 奥様だなんて言われて恥ずかしいけれど、その反面嬉しい気がするのはなぜなのか。まだ私は自分の気持ちがわからずにいる。


「こちらのパントリーが、さきほど廊下側から見たウォークインクローゼットまで繋がっているんですよ」

「へえ、なるほどな」


 バルコニーに出てしまったルイさんを放ったまま、案内の男性におすすめされたパントリーの中を見回す。

 L字に折れたパントリーの奥は広い小部屋になっていて、廊下側から見た場所だ。
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