孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 店の外に出て、またしてもルイさんと押し問答を繰り広げる社長をじっと見つめる。

 このあと、社長のホテルに泊まると言い張るルイさんに、ズケズケと遠慮のない罵倒をしている。

 ふたりの仲の良さにかすかに嫉妬を過らせると、私の心に気づいたように、不意にこちらへ切れ長の瞳が視線を寄越してきた。

 目が合っただけで、胸は熱く脈を乱す。

 私が逸らさない限りは、きっとずっとこのまま見つめ合い続けるんだと思う。

 やんわりと瞬きをした社長は、私に歩み寄り指をそっと拾ってくる。

 そこから伝わる温かな熱が、鼓動を穏やかにとくとくと速めさせる。

 この温かさをくれるものが一時的なことかもしれなくても、信じたいと思う私の心は、もしかしたら社長のくれた気持ちに、自ら近づこうとしているのかもしれなかった。



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