孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
*
橘社長が初めて出社してから、数時間。
二十五階の窓の外は、夕日の名残を滲ませるていどで、ほぼ夜の闇が辺りの空を支配をしていた。
デスクに出したコーヒーを数度入れ換えただけで、あとは休憩もなしに椅子に座りっぱなしだった社長。
二十以上もある部門のうちの八割と面談をこなした。
最後のほうになると、他の部署から話を聞いて多少の準備をしてきたとある部門の部長も、社長室を出るときには、魂を抜かれたような表情をして頭を下げていた。
「I want to eat sushi……」
〈寿司、食いたい……〉
それまで聞いてきたどれとも違う、お腹の底からのため息に、最後の部長が漂わせていた負のオーラを閉め出した扉から振り返った。
『お寿司、ですか?』
『この辺で旨い寿司が食える店、知ってるか?』
革張りの椅子に頭をもたれたまま、脱力した流し目だけで私を見てきた橘社長。
こんな無防備な顔をすることがあろうとは、本日二度目の驚きだ。
橘社長が初めて出社してから、数時間。
二十五階の窓の外は、夕日の名残を滲ませるていどで、ほぼ夜の闇が辺りの空を支配をしていた。
デスクに出したコーヒーを数度入れ換えただけで、あとは休憩もなしに椅子に座りっぱなしだった社長。
二十以上もある部門のうちの八割と面談をこなした。
最後のほうになると、他の部署から話を聞いて多少の準備をしてきたとある部門の部長も、社長室を出るときには、魂を抜かれたような表情をして頭を下げていた。
「I want to eat sushi……」
〈寿司、食いたい……〉
それまで聞いてきたどれとも違う、お腹の底からのため息に、最後の部長が漂わせていた負のオーラを閉め出した扉から振り返った。
『お寿司、ですか?』
『この辺で旨い寿司が食える店、知ってるか?』
革張りの椅子に頭をもたれたまま、脱力した流し目だけで私を見てきた橘社長。
こんな無防備な顔をすることがあろうとは、本日二度目の驚きだ。