孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 ほんの一瞬だけ目元を苦しげにしかめた社長は、私の後頭部を大きな手のひらで抱え込み、さっきまでとは違って強く唇を押しあててきた。

 呼吸が苦しくなってわずかに開けた口の中へ、すかさず社長の熱が滑り込んでくる。

 初めての深いキスに余計に息ができなくなり、ぎりぎりで吐き出した息は鼻から抜けるような甘い声を伴った。

 こんなに熱い想いをぶつけてくる社長が、あのとき私に言った言葉を偽っていたなんて思えない。


「社、長……っ」


 唇の角度を変え、そのまま私を食べ尽くしてしまいそうなほどの熱さに、足元が崩れた。

 背後のデスクにすとんと腰が落ちる。

 はずみで離れてしまった社長の唇は、てらてらと色っぽく濡れていて呼吸を上ずらせていた。


「お前……会社でそんな可愛いことするな」


 はあ、と大きく息を吐きだした社長は、デスクに腰かける私を囲うように腕をつく。

 私の肩に額を付けて、ゆっくりと深呼吸をした。
< 243 / 337 >

この作品をシェア

pagetop