孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『ユウセイに、なにか言おうと思ってる?』


 いつもの可愛らしい王子様の雰囲気を消し、美しい人の真顔がこんなに迫力のあるものなのだと思わせる表情で、ルイさんは私に見えない圧を送ってくる。


『なにかって……』

『サオリを見かけるたびに思ってた。僕が言ったことをユウセイに確かめようとしているんじゃないかって』


 ぎくりとしてしまうほど、ルイさんが私に向ける視線は冷ややかなものだ。

 私が社長に社長の気持ちを確かめようとしていることが、いけないことなのだと思わされる。


『今はそういうの、やめてあげてくれない? 今向こうでユウセイが引き継ぎした案件がトラブってるんだ。たぶん今日そのことについて向こうから話があっているはずだよ』

『トラブル……?』

『やっぱり知らなかったんだ。言う必要がないから、ユウセイも話をしなかったんだろうね。サオリに言ってもきっとわからないから』


 疎まし気に目を細める青い瞳に、バシャッと冷や水を頭からかぶらされたような気がした。
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