孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 少しでも社長の力になれるなら、社長の帰る場所になりたい。

 いつか向こうの国に帰ってしまっても、日本にまた来ることがあれば、私は社長の帰ってくる場所でいたい。


「当たり前だろ。最初からそう言ってる」


 なんの疑問もなく答えてくれる社長を見つめて、ほっとする心から自然と笑みがこぼれる。

 一瞬だけ固まった社長はしばらく私を見つめてから、持っていたトレーを取り上げる。

 テーブルにそれを置くと、私を抱き上げて膝の上に向き合うように座らされた。


「しゃ、社長……っ!?」

「うん、やっぱりいいな」

「なにがですかっ?」

「眺め」


 嬉しそうに口の端を持ち上げる社長は、恥ずかしい体勢から抜け出そうと試みる私の腰をがっちりと抱きしめてきた。


「何度もルイに邪魔されてるからな」

「邪魔だなんて、だって会社であんな……」

「うん、だから今、堪能させてもらう」


 首根っこを引き寄せられ、下に見る社長から唇が掬われる。

 最初から強く求められて、いやらしい音を鳴らす唇の隙間から、熱のこもった吐息に混じり自分でも聞いたことのない甘い声が漏れてきた。
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