孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「嫉妬、してるのか?」

「……わかりません。でも……」


 後頭部を撫でる大きな手のひらの包容力に、社長の首筋に触れた頬をすり寄せる。

 これが嫉妬という感情なのかどうかはわからない。

 あまりにショックが大きくて、顔も知らない社長の大切な人を自分がどう思っているのかすらわからない。

 ただ、これだけは言える。


「……胸が痛いです……」


 消え入りそうな私の声を、覗き込んできた社長のキスが受け止めてくれる。

 咥内をくまなく探ってくる社長の熱に、胸の奥から想いが引きずり上げられる。


 待たせている子がいるのに、こんなふうにキスなんてして……

 私のこと、社長はどんなふうに思っているのかわからなくなってきた。

 唇を解放されてようやく息苦しさに気づく。

 だけどそれは呼吸ではなく、胸の痛みのせいだ。

 痛くて苦しくて、視界が滲みだした。
< 281 / 337 >

この作品をシェア

pagetop