孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 今朝のことを思い出していると、きっちりと締めてきたブラウスのボタンが、ひとつずつ長い指に解かれていく。


「あいつに、ほだされたか?」

「そんなん、じゃ……っ」


 あらわにされた首筋に、社長の濡れた熱い唇が当てられて、熱を持った体がびくっと跳ね上がった。

 ここは会社で、社長室で、扉の向こうにはルイさんがいて、秘書課のみんなだって廊下に出ているかもしれない。

 はしたない声を必死で我慢して吐き出す吐息は、自分の気持ちを高ぶらせるほどに濡れている。

 こんなところ、誰かに見られでもしたら……私この会社に居られない……っ

 そんなのはいや、社長のそばにいられなくなるなんて……

 体は社長の熱を求めているけれど、わずかに残る理性がたくましい胸元に手を当てさせた。


「ルイさんは、誰よりも社長のことを一番に考えてくれているんだと思います」
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