孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 わかっていたくせに、まるで興味がないように私から離れようとはしない社長。

 電話に出るどころか、私の胸の膨らみに手のひらを被せてきた。

 危うく私までスイッチを入れられそうになったところを、かろうじて大きな手を押さえつけて阻止する。


「お仕事の急な用件かもしれませんよっ! 社長!」


 電話の向こうの相手も諦めることなくコールし続けていることに、社長はようやく私をまさぐる手を止め、チッと疎ましげに舌打ちをしてからベッドを降りた。

 寝室を出ていく背中にほっとしたことよりも、ちょっとだけ残念だと思ってしまった自分のほっぺたをぺちっと両手で叩く。

 自分の欲を優先させようとしちゃうなんて、こんなことだからルイさんに私が社長の邪魔になってるって思われちゃうんだ。

 でも、仕事よりも私を優先しようとした社長の気持ちが、両手で触れた頬を熱くさせた。
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