孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 どうして明日帰るはずだった社長が、もうすでに今ここにいるのかなんて、どうでもよくなった。

 もしかしたら、これは私が見ている夢かもしれなくても、今はそれでよかった。

 うれしくて、いとしくて、寂しさに取り込まれかかっていた心が、社長のやわらかな唇に温めてもらえたから。

 まだまだ足りない気がするキスは、そこで一旦お預けされる。

 自分でもわかる火照って濡れた唇は、少し距離を取った彼の名前をねだるように呟いた。


「……勇征さん……」

「一便でも早く飛行機に乗りたかったから、キャンセルが出るのを待っていたんだ、空港で」


 どうして、と聞いた私の言葉に律義に答えてくれる社長。


「少しでも早く会いたかった。毎日お前が泣いてると、ルイから聞かされていたから」
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