孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 隣に座った切れ長の瞳に開けてもいいかと、目線だけで尋ねると、ゆったりとしたまばたきで快諾される。

 いくつになっても、プレゼントを開ける瞬間というのはドキドキする。

 その先には、幸せな気持ちが待っているとわかるから。

 ドーム型の蓋を開けると、藍色のサテンを敷いたそこに小さなガラスの靴が置かれていた。

 つま先には深紅の薔薇が一輪。

 かかと部分から流れるピンクのリボンに包まれるように、小さなピンクダイヤのネックレスが透明の靴底の上でキラリと輝いた。

 あまりの可愛らしさと、心の底から込み上がってくる感激に、なにを言っていいのかわからなくなる。


「この薔薇は造花なんだ、ビロードで出来てる。枯れない薔薇だ」

「枯れない……」


 ようやく絞り出した声は、社長の言葉を反復するだけが精一杯。


「永遠に変わらない、ずっとここにあり続ける……愛」

「愛……」


 オウム返ししかできない私に、社長はふっと小さく笑いをこぼした。
< 335 / 337 >

この作品をシェア

pagetop