孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない



 人事部に赴いた社長は、明日午後に緊急の人事部会を開くと通達した。


『どうしてこっちの経営が右肩下がりなのかがわかった。まずは人事の見直しだ』


 会議までに役職者全員の査定評と人事考課に関する資料を揃えるようにとの指示が出された。


『言わなくてもわかってもらえるとありがたいが、くれぐれも紙のデータで用意なんてすることのないように』


 英語に精通した人事部長は、直に伝わる社長の恐ろしいほどの威圧感に、いつも穏やかな顔を青白く硬直させていたのがとても気の毒だった。

 かくいう私も、急遽明日の社長のスケジュールを早急に調整をするはめになった。

 前もって入れてあった他社への挨拶回り。

 よほどの重要性がない限りはキャンセルするようにとの指示だった。

 急なキャンセルの対応に焦りはしたけれど、前任者が立てた予定は、どう見ても明らかな時間潰しのようなものばかりだと辟易していたから、内心その指示にはスッとするものがあった。
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