孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 誰だって、普段と違う自分の姿を晒すのは、恥ずかしいものだと思う。

 特に仕事をしている姿しか知らない同僚、しかも直属の上司ならなおのこと。


「日本舞踊か……、それは興味深い。ぜひとも拝見させていただきたい」


 左側を見るのも勇気が要りそうなほど、恥ずかしさで顔が熱くなっているのがわかる。


「そんな大そうなものではないので……」

「なにを謙遜することがあるんだ。
 この間なんて、とある大企業の会長さんが、相手がいないならぜひ自分のところの嫁に来てくれって、息子さんの見合い写真まで持って来てくれたじゃないか」


 消え入りそうな私の声を胸を張って遮る叔父に、恥ずかしさを通り越して顔が青ざめてきた。

 お見合い話なんて受ける気はなかったけれど、恋人がいないと不可抗力で教えてしまった社長に、さらなる恥の上塗りだ。
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