孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『も、申し訳ありません。生意気にも社長に選択肢を向けるなどと……』

『いや、構わない』


 ふ、と軽く口の端で笑い、椅子を回して机に両肘をついた社長。

 そこで両手を組み顎を支えてから、圧巻の端正さで上目遣いに私を見上げてきた。


「話すなら、もちろん日本語がいいさ。日本に居るんだから」

「え!?」


 それならどうして、と納得できない現状が日本語で返された回答に眉をひそめさせた。


「じゃ、じゃあ、日本語を使わないのは、どうしてなんですか?
 どうしてわざわざ通訳をつけてまで、日本語がわからないなんて面倒なこと……」

「That's because it's easier.」
<それはこっちの方が楽だから>
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