孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
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向かうのは同じ場所なんだからと、社長は私に、業務後は社のエントランスで待つようにと指示した。
今日は、叔父が社長を招待した金曜日。
すっかり夜に染まった寒空の下、やっぱり今日も私は高級ハイヤーに同乗させられた。
社屋の前に堂々と横付けされた黒塗りの高級車に乗り込みながら、ちくちくと感じていた退社する社員達の視線。
けれど、そう思うのは私の自意識過剰な被害妄想なだけで、秘書が社長に同行しても、周りから見ればなんら不思議なことではない。
心なしかうきうきとしたオーラがひっそりと放たれているのに気づいているのはおそらく、隣で車に揺られる私だけだと思う。
これが業務外のプライベートな時間だとわかっているのも私だけ。
それがなんだか小さな罪悪感を燻らせ、同時にむずむずとした背徳感に高揚を感じている胸が、ささやかに鼓動を速めていた。
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向かうのは同じ場所なんだからと、社長は私に、業務後は社のエントランスで待つようにと指示した。
今日は、叔父が社長を招待した金曜日。
すっかり夜に染まった寒空の下、やっぱり今日も私は高級ハイヤーに同乗させられた。
社屋の前に堂々と横付けされた黒塗りの高級車に乗り込みながら、ちくちくと感じていた退社する社員達の視線。
けれど、そう思うのは私の自意識過剰な被害妄想なだけで、秘書が社長に同行しても、周りから見ればなんら不思議なことではない。
心なしかうきうきとしたオーラがひっそりと放たれているのに気づいているのはおそらく、隣で車に揺られる私だけだと思う。
これが業務外のプライベートな時間だとわかっているのも私だけ。
それがなんだか小さな罪悪感を燻らせ、同時にむずむずとした背徳感に高揚を感じている胸が、ささやかに鼓動を速めていた。
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