孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
*
叔父の店の二階は、短い廊下の左手に宴会場が備わっている。
そこを通り過ぎた奥にある六畳の和室が、私がいつも使っている控室だ。
ここまで当然のように衣装を入れたスーツケースを運んでくれた社長。
「楽しみにしてる」と切れ長の目を細めた彼は、今ごろほかのお客様達に混じり宴会場の席についているはずだ。
畳に膝をつき、ドット柄の小ぶりな赤い箱を広げる。
いつになく大きく鼓動を打っている胸に手を当てた。
こんなに身近な知り合いに見せるのは、久しぶりだから……
私を見る切れ長の瞳を思い出すと、手のひらに伝わる振動が強くなった気がした。
ただの緊張だと思うのに、……少しだけ違う感じがするのは、気のせいかな。
――『俺は前々から、君に一目置いていた』
社長に言われた言葉が胸を占める。
叔父の店の二階は、短い廊下の左手に宴会場が備わっている。
そこを通り過ぎた奥にある六畳の和室が、私がいつも使っている控室だ。
ここまで当然のように衣装を入れたスーツケースを運んでくれた社長。
「楽しみにしてる」と切れ長の目を細めた彼は、今ごろほかのお客様達に混じり宴会場の席についているはずだ。
畳に膝をつき、ドット柄の小ぶりな赤い箱を広げる。
いつになく大きく鼓動を打っている胸に手を当てた。
こんなに身近な知り合いに見せるのは、久しぶりだから……
私を見る切れ長の瞳を思い出すと、手のひらに伝わる振動が強くなった気がした。
ただの緊張だと思うのに、……少しだけ違う感じがするのは、気のせいかな。
――『俺は前々から、君に一目置いていた』
社長に言われた言葉が胸を占める。