世界できっと、キミだけが


「お父さん、ちゃんとご飯食べてる?」

――ああ、食べてるって。心配症だな。こっちの方が紗千の事心配してるっていうのに

「うん。ごめんね、心配かけて」




夜。
お父さんと電話。

お父さんとは頻繁に連絡を取り合っている。
心配をかけたくないし、お父さん自身の事も心配だしね。



――怖い思いしていないか?ケガは?

「大丈夫だよ。なにかあっても、ちゃんと竜が護ってくれるから」

――竜?なんだ、仲よくなったのか?

「な、仲よくって。別にそんなんじゃ…」




うっかりお父さんの前で竜って呼んじゃった。
別に、やましい関係ではないけど、私にはそのやましい気持ちがあるわけで。



――その竜って、あの若い男のボディガードだろ?

「うん。そう。顔つきの怖い、仏頂面の方」

――えらい言い様だな。…紗千の事故の時、かなりショックを受けていた様子だったから

「え?」

――自分を責めてたよ。ってこんな事言っちゃだめだったかな



ははは、と電話口で笑う。


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