世界できっと、キミだけが


「それは、仕事として護れなかったからってことでしょ。仕事人間だもん。あいつ」

――まぁ、それもあるだろうな。そういえば、どっかで会ったような気がするんだよなぁ

「え?竜に?どこで」

――それが思い出せないんだよ。かなり前の事なのかな?




お父さんの記憶なんてあてにならないんだから。
私の友だちの名前だってすぐ間違えるし。
菜穂のことだって、何度なおって間違えた事か。


そのくせ、人の事は好きだから、やたらに話しかけていくし。
竜が言ったように、馬鹿がつくお人好し。


それが私の大好きなお父さん。



――紗千。お父さん、本当に紗千には悪いことをしたって…

「もう!何度も言わせないでよ!お父さんのせいじゃないって!私だって納得して引き受けた事なの。それで自分が傷ついたとしても、自分の責任なんだから」

――バカ!そんな事言うな!俺は、大事な娘にそんな思いさせたくない。でも、助け出す方法が見つけられない情けない父親だ…



ああ、もう一つ付け足すとしたら、極度の親ばかだ。



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