世界できっと、キミだけが
「わかってるよ。お父さん。でも、本当に大丈夫だから」
大好きなお父さんに余計な心労をかけている。
でもね、お父さん。
今は、ただいやいや身代わりをしているわけじゃないよ。
好きになってしまったの。
だから、側にいたいって言う邪な気持ちも持ち合わせてる。
怖い思いはしたくない。
でも、竜といるにはその世界にいるしかないから。
無謀な恋だと人は笑うかも。
それでも。
恋に落ちるということに理屈なんてないんだ。
――早く、戻って来い、紗千
「うん。ありがとう、お父さん」
今は少しだけ。
お人好しのお父さんのおかげかも、なんて思っているくらいなんだから。
だからこそ。
あの手紙は私が何とかしなくちゃ。