世界できっと、キミだけが
「小野田さん、聞いた?」
「え…?」
久しぶりに、吉沢さんがついてくれている。
今はお屋敷にいて、部屋でのんびり中。
竜は基本外で待機してくれているんだけど、吉沢さんの時は中で警護してくれる。
「裏切り者がいるって話」
「…あ、はい」
私はやっていた宿題をやめ、吉沢さんを見た。
そんな話を私にして、どうしようというんだろう。
久住さんたちは気にしないでいいって言ってくれたのに。
吉沢さんとはやっぱり距離を感じてしまう。
「あのね…言い辛いんだけど、それもしかしたら…鹿島かもしれない」
「……え」
吉沢さんの言葉に絶句する。
だって今、なんて…。
「こんな事、久住さんには言えなくて…」
「ちょっと待ってください…。だからってなんで私に。それに竜が…なんて…」
頭がついていかない。
吉沢さんが、なにを言っているのか、ワカラナイ。