世界できっと、キミだけが
「男の顔を見た事、鹿島に話したでしょう?」
「…え」
「見られたかもしれない。そう思ったオートバイの男は行動を起こした。貴方が見たかどうかを確認するため。それが確信に変わったんじゃない?」
そう言われて、ハッとした。
確かに、車の事故の後病院でオートバイの男によく似た人を見つけて…。
その時竜に話したんだ。
男の顔を見ていたこと。
「顔を見られたと確信したから、貴方を襲う計画を立てた。そう考えるべきよ」
「そんな…。でも、幸子お嬢様を狙う理由なんて…」
「あるの。鹿島には…。幸子お嬢様にというか、宇都木に恨みが…」
え……。
宇都木に、恨み…?
私の知らない話。
胸が騒ぐ。
信じたくない。
なのに、信じざるを得ないような辻褄を合わされて。
そんなはずないって心が叫ぶのに。
現実はそうなんだと突きつけられるようで。