常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「……課長と『あの人』って怪しくないか?」
二人が出ていったあと、小田がつぶやいた。
……あの二人、はじめはほぼ初対面かな、って思ったけど……そのうち、課長の席で二人ぴったり密着しながら端末を見つめだして……その間、課長は彼女の手をずーっと握ってて……
「えーっ、違うっしょー」
山田がちっちっちっ、と目の前で人差し指を振る。
「課長って、見るからに、ナイスバディ系のゴージャス美人がタイプっすよ」
やけに自信たっぷりだが、根拠はなにもない。
ただの山田の「個人の感想」だ。
……だけど、二人して急に会議室へ行っちゃったじゃないか。
やっぱり小田は腑に落ちなかった。
なにより、クールな課長のあんなふうな姿を見たのが、初めてだったのだ。