常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
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朝比奈 蓉子は、上へ行くエレベーターを待っていた。

三階に着いた箱が開く。
乗り込もうとしたら、同期で親友の営業事務課に所属する田中 亜湖がいた。

「あら、亜湖……めずらしいわね、四階へ行くの?」

こくっ、と肯く亜湖の後ろに長身の男がいた。
営業二課の課長で親戚の幼なじみでもある、上條 大地だった。

「あら、大……」

と、言いかけたところで、大地が(しか)めた顔をしているのに気がついた。
口パクで「乗」「る」「な」と言っている。

呆れた蓉子は苦笑しながら、後ずさりした。

「あれ、蓉子、乗らないの?」

「う、うん……これ、上でしょ?あたし、下に行くの」

大地が速攻で「閉」のボタンを押した。

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