常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「……ダメだ、止まらない」
大地は苦しげに言って、亜湖の首に巻いたブルーのスカーフを一気に解いた。
それから、ブラウスのボタンを立て続けに三つほど外すと、露わになった亜湖の真っ白な首筋から鎖骨にかけて、くちびるを滑らせた。
荒々しい大地の息を素肌に感じていたら、突然、チクッと痛みが走った。
「……っ!」
そのとき、大地のスーツから低い振動音がした。
大地が舌打ちした。ジャケットのポケットからケータイを取り出す。会社用だ。
「……悪い。もう戻らないと」
大地が不機嫌な声で言った。もともと勤務時間内に勤務外のことをしていたのである。
「続きは金曜日の夜な」
大きな手で亜湖の頭をぽんぽん、として……名残惜しそうな顔で亜湖の口にちゅっ、とキスをして……大地は小会議室Bを出て行った。
残された亜湖はブラウスのボタンを留めて身なりを整えた。でも、火照った顔は元に戻るまで、まだまだ時間がかかりそうだ。
そして、亜湖も小会議室Bをあとにした。