常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
「新年パーティ」は小学校の講堂みたいに大きなお部屋でやっていた。
天井を見上げると、巨大なシャンデリアが怖いくらいにぎらぎらと輝いている。
大きくて細長いテーブルの上には、銀の器に盛られた美味しそうな料理が所狭しと並んでいる。
亜湖は駆け寄って見てみたかったが、おとうさんから離れてはいけないと強く言われていたのでガマンした。そもそも、おとうさんからしっかり手をつながれていたのでどうしようもなかったが。
『あけましておめでとう、お嬢ちゃん』
それまでおとうさんとお話をしていた、濃紺のスーツを着た背の高いおじさんが、身を屈めて亜湖に話しかけた。
『……あけましておめでとうございます』
小さな声で亜湖は応じた。緊張したので、おとうさんとつないだ手にぎゅーっと力を込めた。
『着物姿の女の子はかわいいなぁ。すっごく似合ってるよ。うちは男だからな。こういう楽しみがない。小学校の五年生にもなると、どんどん生意気になってきてさ』
おじさんは顔を顰めてそう言ったが、すぐに晴れやかな顔に変わった。
『そうだ、お嬢ちゃん……うちのガキの嫁さんになってくれよ。そしたら、おじさんもきみの『お父さん』になれるからさ』
『ちょっと、上條さん!?』
おとうさんが真っ赤な顔で遮った。
『娘は嫁に出しませんよ!それから、亜湖の「おとうさん」はおれ一人ですから!!』