常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
亜湖はスマホの通話をタップした。
「……おかあさん?……亜湖だけど」
声が震える。
まだ、大地のベッドの中だ。服どころか下着も着けていない。彼が許さないのだ。
だから、身体はブランケットに包まれているだけだ。
先刻、大地がリビングへ行って、スマホが入った亜湖のバッグを取ってきてくれた。
自分だけ、いつの間にかボクサーパンツとハーフパンツを身につけていたので、亜湖は睨んだ。
すると、脱ごうとするので、亜湖はあわてて制止する羽目になった。
『……亜湖!? ……あなた、今、どこにいるの!?』
母親はやはり、かなり心配しているようだった。
『蓉子ちゃんのところにも電話したのよ?』
……うわーっ、『蓉子の家にいました』ってアリバイが使えなーいっ。
亜湖は焦った。その気配を感じて、背後から大地が抱きしめてくれる。
亜湖は意を固めた。
「……おかあさん、わたし、今……
……大切な人と……一緒にいるの」
抱きしめられた、大地の腕の力が強くなる。
「だから……心配しないで……」
しばらく、沈黙があった。