常務の愛娘の「田中さん」を探せ!

洗濯機があるバスルームの隣のパウダールームへ行く途中、亜湖はきょろきょろと周囲を見回した。

……いくつ部屋があるのかな?

「3LDKだ。ウォークインクローゼットにしてる部屋を入れると3SLDKになるのかな」

大地がまるで、亜湖の心をよんだかのように答える。

「一人暮らしなのに、3SLDK?」

亜湖が眉間にシワを寄せ、怪訝な顔をする。

「悪い方に勘ぐるな。ファミリータイプの方が売りたいときに買い手がつきやすいからだ」

どうやら、賃貸ではなく分譲らしい。

洗濯させてもらえるのはありがたいが、レースの下着類は繊細なので、洗濯機にそのまま入れるのは不安だ。亜湖が躊躇していると、大地が造り付けの棚から洗濯ネットを取り出した。透明の袋に入った新品だ。

……一人暮らしの男の人の家に「洗濯ネット」ってあるものなの!?

亜湖がさらに眉間にシワを寄せ、大地の部屋に来て以来、最悪に怪訝な顔になる。

「だから、悪い方に勘ぐるなって!会社の取引先のノベルティだっ。粗品だよっ」

渡された洗濯ネットの袋を見ると、確かに会社名が印字されていた。
亜湖は洗濯ネットにシフォンのトップスと下着類を入れ、ドラム式の洗濯機の操作ボタンを押していった。

だけど……女の人の下着類は、洗濯ネットに入れて洗濯機を使うってことは知ってるのね?

亜湖は口に出すことはなかったが、心ではしっかり思った。

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