常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
洗濯が一段落したあと、亜湖は冷蔵庫の中のベーコン・玉ねぎとスライスチーズを使って、ピザトーストをつくった。ソースはトマトケチャップしかないので、少々甘ったるいけれど仕方ない。
……ホールトマトの缶詰でもあれば、もうちょっと本格的な味になったのにな。できれば、しめじもほしかった。かろうじて玉ねぎがあってよかったけど。
玉子と牛乳があったので、フレンチトーストもつくった。たぶん、大地は甘ったるい味が苦手そうに見えるから、甘さは控えめにした。
……シナモンがあれば、もっと甘さを抑えられるんだけど。
それから、スクランブルエッグをつくって、マヨネーズと(コンビニでおでんなんかを買ったときにもらったと思われる)辛子をタルタル風に和えて、(同じくコンビニで買ったと見られる)カット野菜の上に乗せて、さらにその上にカリカリに焼いたオニオンをまぶしてサラダにした。
……チューブ入りのニンニクでもあれば、カリカリに焼いたオニオンがぐっとスパイシーになるのにな。ガーリックトーストもつくりたかったな。
あと、せめてコンソメの顆粒か固形でもあればオニオンスープをつくったのだが、大地のうちのキッチンにそんなものがあるわけなく、泣く泣く買い置きされていた市販のインスタントのポタージュスープにする。
それでも、ペニンシュラキッチンのカウンターに手早く並んだブランチに、大地は目を見張った。
「……おまえ、料理できたんだな?」
実家暮らしだから、家事は母親に任せっきりだと思っていた。
……料理、ってほどでもないんだけどなぁ。
亜湖は自分の料理の実力がこんなもんか、と思われるのはイヤだった。伊達に会社のお昼休憩で蓉子とランチ行脚してるわけじゃない。
確かに、亜湖の風貌ではリンゴの皮もろくろく剥けなさそうではあるのだが。