常務の愛娘の「田中さん」を探せ!
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「…‥さすがに本格的に腹へったな」

文字通り、精も根も尽きて、亜湖の上に崩れるように覆い被さった大地がつぶやいた。
美味(うま)かったが、先刻(さっき)の朝食みたいな食事では到底腹がもたない。

亜湖は一点を見つめた放心状態で、肩で息をしている。今まで、大地に導かれて何度も意識を飛ばしていた。

「おまえ、体力つけないとな」

見るからに華奢で頼りない身体(からだ)つきの、亜湖の頭を撫でながら大地は言った。

「……これでも……蓉子と……スポーツジムに……通ってる」

息を切らしながら、亜湖が反論する。

「スポーツジムって、会社が法人会員のとこか?」

亜湖が肯いた。

そこなら、大地も通っている。
今まで二人が出会う機会はいくらでもあっのだ。
しかし、蓉子を避けていた大地は、彼女と始終行動をともにしていた亜湖とも会う機会をみすみす逃していた、というわけだ。

蓉子は華やかで目立つから、スポーツジムで見かけた際には即座に「回れ右」をしていた自分が口惜しくって(たま)らない。その隣には亜湖がいたはずなのに。

「スタジオで…ダンスとか…ピラティスとか…ヨガとか…やってるよ」

少し、息も整ってきたらしい。
すると、ようやく一糸まとわぬ姿を大地に(さら)していることに気づいたのか、あわててブランケットを引き上げる。

……もう、おまえ自身が見たことのないとこまで見てるんだけどな。

「そうか、おれもそのジムに通ってるんだ。今度からおれと行こうぜ……どうせ、蓉子はこれからは慶人と行くだろ。あいつも常連だから」

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