溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「キャハハハ! なにそれ、超ウケるんだけど。しかもその状況で二人で肩並べて食べたの? やだぁ、もうお腹痛い」

会社に戻り、さっきの出来事をユリさんに話すと、ケラケラと大笑いされてしまった。

「笑い事じゃありませんよ。こっちはとんだ恥かいたんですから」
「本当あんたって面白いわ。可愛いくて食べちゃいたい」

もう、ユリさんてば……。他人事だと思って。あれから黙々と隣で同じご飯を食べる九条さんとは全く会話はなく。とてつもない気まずさに苛まれながらなんとか胃に流した。あんなに居心地の悪いランチは生まれて初めてだ。

「そんなに一緒になるのが嫌なら、お店かえたらいいじゃない。 明日も来るかもしれないわよ?」
「でも、私あのお店が好きなんです」

即答した私にユリさんは一瞬不思議そうな顔をした後、そっか、と頷いた。
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