溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

不思議に思い視線を上げ見渡すと、やだぁと言いながらこっちを見て笑うOL風の二人組や、本の隙間からチラチラとこっちを盗み見ている学生風の男性が目に入った。

それにテーブル席には聞いちゃダメよ、と子供の耳をふさぐ親子の姿。そこでハッとした。なんつー会話だ。これじゃまるで……

「あ、あの。違いますよ? し、仕事の話ですから」

焦った私は立ち上がって慌てて言い訳をした。でもそれが逆に白々しかったのか、一斉に目を逸らされてしまった。

……やだもう。これじゃ変態カップルみたいじゃない。

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