溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「紹介でもしてほしかったか?」
口をつぐんだ私に、九条さんがなぜか不機嫌そうに横目で見てそう言う。
「……そ、そんな恐れ多いこと考えてもいません。でもあわよくばいつか取り持ってくれたら嬉しいなぁ、なんて。へへ」
「断る」
うっ、一刀両断ですか。そうですよねぇ。それが九条さんですよねぇ。
「だいたいなんで会いたいんだよ」
「なんでってそれは……」
「顔がタイプか? それとも地位か? 名誉か?」
「え?」
もしかしてこの人は、私が男として見ているとでも思っているのだろうか?
「あの、全力で弁解しますけど、そんなつもりじゃないですからね! 彼女にしてもらおうなんて厚かましいこと、微塵も思ってませんから!」
身振り手振りを駆使し、全身で否定していると、不機嫌だった九条さんの表情がだんだんと柔らかくなる。