溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「いっ……たた」
いったいなにが起こったの? 足元は不安定に揺れているし、人が波のようにうごめいている。騒然とする車内。誰もが戸惑い、恐怖心を口にする。
「ただ今この車両は緊急停車いたしました。発車までしばらくお待ちください」
そんな中、緊迫したアナウンスが流れた。そこでさっきの衝撃がブレーキだったことに気がつく。
緊急停車って……いったいなにがあったんだろう。
「大丈夫か? 西沢」
いまだズクズクと痛む額を抑えながら、声をかけてきた九条さんの方へと視線を上げる。