溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

それに九条さんは仕事面に関してはダメだしや否定ははっきりとする。さっきみたいに、全ボツになることもある。だけど私個人をダメなやつだとか、否定したことは無い。

それは彼と接する上でわかったことの一つで、最近はそんな九条さんの下で働くことに居心地の良さすら覚えている。

もっとあの人の素顔を見てみたい。なんてことも思い始めた私はユリさんのいう通り、本当のドMなのかもしれない。

「あれ? そういえば西沢、化粧変えた? 今日なんか雰囲気違う」

言いながらまじまじと覗き込んでくるユリさん。そんな彼女に実は、と昨日の出来事を話した。

「へぇ、可愛いじゃない。 西沢、似合ってる!」
「そうですか? ありがとうございます」

いまいち慣れなくて今朝も鏡に映った自分を見て驚いたくらい。顔を洗うのだって、どうしていいのか戸惑った。

こんなことならアフターケアまで聞いておくべきだったと少し後悔した。せっかく九条さんも可愛いって言ってくれたわけだし。今度会ったら聞いてみようかな。
< 141 / 291 >

この作品をシェア

pagetop