溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

「でもぶっちゃけ、私が好きじゃないって知ってホッとしてるでしょ」
「……」

自分が問いただされる側になるなんて思いもよらず、おし黙る。そんな私に追い打ちをかけるように、ん?と、威圧的な視線でユリさんが覗き込んでくる。

「……す、少しだけ」

顔を上げ素直にそう返事をすると、ユリさんがよしよしと頭をこねくり回す。

ちょっと安堵している自分がいることに間違いはないけど、これが俗にいう恋心っていうものがよくわからない。恋をするとキュンキュンして、頭の中は好きな人でいっぱいになるものだと思っていた。

「じゃあ今日はおめでたい日ね! 青葉ちゃん何でも食べて! おごっちゃう!」

誰もいないことをいいことに、おばちゃんが嬉しそうに手を叩きそう言う。そんなおばちゃんにぶんぶんと手を顔の前で勢いよく振った。

「待ってくださいよ! まだそうだと決まったわけじゃないですから!」
「いいじゃないそんな白黒はっきりさせようとしなくても。それに、自分の気持ちに素直になるって難しいのよ。それを少しでも認められた青葉ちゃんは偉い!」

何だがこじつけられた気もするけど、おばちゃんの嬉しそうな顔を見ているとこっちまで嬉しくなった。田舎の本当のおばあちゃんが喜んでくれているみたいで。
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