溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「諦めきれないの、お願い、聞いて」
九条さんに必死に訴えかけているのは、行く手を遮るようにして九条さんの前に佇む朱音さん。帰ったはずなのに、またどうして?
二人の雰囲気から見てはいけない気がして、反射的に柱の陰に隠れる。
「今朝も言ったけど、無理だって」
「どうしても?」
「諦めろ。無理なもんは無理だ」
「でもっ、好きなの」
大勢の人が行き交う中、意味深な会話をする二人。これは誰がどう聞いても男女のそういう会話。やっぱり朱音さんと九条さんは以前恋人同士で、恐らく朱音さんが復縁を迫っているんだ。