溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「え、あの……ユリさん?」

戸惑う私を捉えたままユリさんがカウンターを周りこっちにやってくる。なにが起ころうとしている?ユリさん、急にどうしちゃったの?

「私じゃダメ?」

そう言った直後、力強く抱き寄せられた。なにがなんだかわからなくて、体を硬直させたまま首だけ振る。

「驚いてる?……に決まっているわよね。でも最近ずっと考えてたの。西沢のこと守ってあげたいなぁって」
「えっと……あの、ありがとうございます。でも私達女の子同士……」

そこまで言ってハッと口を噤む。このご時世性別なんて関係ないのかもしれない。好きになった相手がたまたま同性で、その意思を尊重する時代。同性カップルなんてたくさんいる。

そう頭ではわかっているし、偏見なんてないけど、でも急にこんな場面に直面したら、いくらなんでも戸惑う。

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