溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「あら、青葉ちゃんいらっしゃい。今日はどうしたの? やけに元気ね」
奥から出てきたおばちゃんが目元にしわを寄せニコニコと言う。
この数日、ここに来てもただひたすらごはんを食べるだけで、世間話をすることもなかった。おばちゃんのどこか嬉しそうな顔を見て、もしかすると心配をかけていたのかもしれないと思った。
「はい、ちょっと色々と吹っ切れたので」
「まぁ色々あるわよね、人生」
「……ですね」
おばちゃんのような年代の人に言われるとなんだか恥ずかしくなる。きっと私とは比べ物にもならないくらい大変なことや、修羅場をくぐり抜けてきたのだろうから。だけどエールにも聞こえるその言葉に胸が熱くなった。