溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

「お土産なにがいい?」
「え! いいんですか? じゃあ温泉饅頭で」
「青葉ちゃんて本当渋いお菓子がすきよねぇ」
「はい! 大好きです!」
「じゃあいっぱい買ってきてあげる」
「やったー!」

年もうんと違う二人でキャッキャと学生のように話し込む。

そこに扉が開く音がしておばちゃんと同時に視線を向けた。そこにはこっちに向かってくる九条さんがいて、内心きたっ! と思った。

「いらっしゃい九条くん」

おばちゃんの声に小さく会釈して、当たり前のように隣に座ってくる九条さん。心臓が待ち構えていたかのように早速早鐘を打ち始める。

「俺もこいつと同じやつ」

相変わらずの無愛想な物言い。でもそれすら愛しく思える。
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