溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「なに易々と引き受けてるんだよ」
店を強引に出されるとすぐ、いつもの調子で怒鳴られビクりとする。だけど次の言葉でおどおどする身体はまるで氷室にでも入ったようにフリーズした。
「見合いなんてするな」
……え? 見合い? 今見合いって言った? いったいどうしたらそんなフレーズが出てくるの?
悪い夢でも見たのだろうかとキョトンとしていると、九条さんが「あー、もう」と苛立ったように頭を掻いたあと、私に鋭い視線を向け言い放った。
「誰か側にいてほしいなら、俺でいいだろ」
さらに思いがけない言葉に体は硬直したまま、心だけがあたふたする。見合いの意味も全くわからないし、第一俺でいいだろって?!