溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
いまだ状況が掴めなくて、ただ真剣な眼差しで見つめる九条さんをぽかんと見上げていた。
その中に映る私は自分でも呆れるくらい間抜けな顔をして、それでもその瞳から視線をそらせずにいると、九条さんの噴出すような笑い声が聞えてきて慌てて目のやりどころを探した。
「なんて顔してんだよ」
「だ、だって九条さんが突然思いがけないこと言い出すから」
「嫌ならはっきり言え」
「い、嫌なわけなじゃないですか!」
ずっと叶わないと思ってた。どんなに願ったって手が届かないって。そんな彼が今私を求めてくれているだ。
「あの……つまり九条さんは私が好きだってことでいいんですか? 」
絞り出すようにそう問うと、「他にどういう意味があるっていうんだよ」と頭をくしゃくしゃっと撫でられた。これは夢? じわじわと胸の奥が熱くなる。