溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜

胸がズクン、と痛む。実は私達付き合うことになりました!って、ここで正直に言えればいいんだろうけど、いざ目の前にすると何も言えなくなる。

「私諦めなくてよかった。今度ゆっくり話そうって、さっき連絡がきたの」

連絡? 誰からだろうと視線を彷徨わせながら朱音さんの声に耳を傾ける。

「明日から海外に行っちゃうみたいだけど、戻ったら会おうって。もう嬉しくて」

そう話す朱音さんは嬉しくてたまらないといった様子で。九条さんもへぇよかったな、なんて言っている。私にはなにがなんだかわからなかった。

いったい誰の話をしているの? 朱音さんは九条さんが好きだったんじゃないの?

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