溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「悪い、変な話して」
バツが悪そうに言う九条さんに、いえ、と首を振る。話してくれて嬉しかった。それと同時に湧いてきた感情を思いのままに口にする。
「あの……幸せになりましょう、一緒に。私が幸せにします。大切にします」
そう誓いを立てるように言って視線だけ上げる。するとそこには甘い視線を向ける九条さんがいて胸がきゅんと鳴った。
「人のセリフとるなよ」
「あっ、ご、ごめんなさい」
「バーカ」
口とは裏腹に優しく微笑む九条さん。鬼だとあんなに恐れいていた私の上司は今、私にだけ甘い眼差しを向けてくれる。
きっと今日より明日はもっと彼を好きになる。今日より明日はもっと幸せな日になる。そう確信せずにはいられなかった。