溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
「西沢」
「はい」
「お前は親しみやすいキャラクターを考えろ。いつかはそのキャラクターだけでも売り出せるようなものだ」
俺の要望に一瞬顔を強張らせていたが、小さく頷いて見せると、笑顔でハイと返事をした。
会社を大きくするのが井上との約束だ。そしてなによりこの笑顔を守りたいという思いが強い。認められるためだったらなんだってやる。例え動機が不純だったとしても、時間を無駄にしたとしても。
「よーし! こうなったら、アプリオブザイヤー絶対とってやるぞー!」
西沢にも何か伝わったのか、まるで頭からやる気を注入されたようにその場で叫ぶ。
「西沢がそう言うなら頑張らなくちゃ!」
それに連鎖されるユリ。
「九条さん、ヒットしたら給料奮発してくださいよー」
そして真壁。オフィス内が一気に活気づく。
きっとここは大きくなる。こいつらとなら世間を賑わせるものが作れる。そう信じずにはいられなかった。