溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜
確かにこの場所を待ち合わせ場所に使う人は多い。車の列もさっきから途絶えない。
だがだからって普通間違うか? ナンバーを確認しろよ。しかも慌てふためく姿が容易に想像できてしまう。その運転手も気の毒に。
「西沢のドジは相変わらずだな」
「だって車種も色も同じだったんだもん」
「ほんと、バカ」
「バカって! お言葉ですけどいまだに妻を苗字で呼ぶ京吾さんのほうがバカですよ! だいたい私もう西沢じゃないし! 九条だし!」
そういえばいつからか、隣で憤慨する妻は俺のことを自然と名前で呼ぶようになった。俺はいまだに慣れなくて、つい西沢と言ってしまうが。
「で、今からどうすんの」
助手席に乗り込み、ふんっとそっぽを向く妻に本題を切り出す。
今日は自分が全部プランを考えるんだと、数日前からこの日を子供のように楽しみにしていた。さて、次はなにを言い出すのやら。