溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜


「ま、とりあえずがんばんな。若いうちは怒られてなんぼよ」

そう言ってユリさんは私のデスクにチョコと飴を置くと、お尻をふりふりしながら自分の持ち場へと戻っていった。

相変わらずの九条さん推しだなぁ。どこがいいのか、あんな仕事の鬼。

私が勤めるこの小さな会社Gumiは、アプリ開発を主としたいわばベンチャー企業。

社長にプログラマが3名、それとサウンドクリエーターにデザイナーの6名で構成されている。ちなみに私はデザイナーとして働いている。

昔から絵を描くとが好きで、小さい頃から外で遊ばず絵ばかり書いていた。周りからは暗いだの、活気がないだの色々言われたりもしたが、私は絵を描くことをやめなかった。

大きくなったら自分で書いたイラストでみんなを楽しませたい。雑誌や広告に自分の絵を載せるんだって、強く思っていた。

なのにどう血迷ったのか。今私はエロゲーの開発に携わっている。
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