溺甘豹変〜鬼上司は私にだけとびきり甘い〜



「どっちがいい?」
「え?」
「さっさと選べ」
「えっ……っと、じゃあ緑で」

そう答えた私に、ん、と小さく言って九条さんは新品の歯ブラシを手渡す。

「着替えはとりあえずこれでいいか」

そして部屋に干してあったTシャツをハンガーから乱雑に外すと、立ち尽くす私に手渡した。

……ていうか、なんだこの状況。てっきり会社に連れて行ってくれるのかと思いきや、なぜか九条さんのマンションに連れてこられ、そしてなんの説明もなく現在にいたる。

まさかと思うけど、ここに泊まれと?

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